WBA世界ライトフライ級のタイトルマッチが
ついにやって来てしまった。
亀田興毅対ファン・ランダエタのカードであるが
現在WBAはライトフライ級の王者が不在であり
同級1位のファン・ランダエタと2位の亀田興毅の勝者が
チャンピオンとなる。
亀田興毅と言えば、その強さだけでなく、態度、言動など
大いに話題を呼んでおり、パッシングも多い。
ただ、この試合で勝利すればそのようなパッシングも
全て排除する事が出来る可能性が高く
この試合は注目の一戦と言えるだろう。
試合開始から、両者共に良い攻防を繰り広げるが
1ラウンド終了間際、ランダエタのコンパクトな
ショートフック気味のパンチが亀田の顎に入りダウン。
直後にラウンドは終了したが
やはり今までの相手の様には上手くいかないという事だろう。
続く第2ラウンドだが、ダウンのダメージを感じさせず
良いリズムで攻めていく。
ただ、いつものように攻めていく感じにはならず
未だ安心は出来ない。
そのまま2分30秒あたりから亀田のパンチが当たり始めるが
第2ラウンド終了。
迎えた第3ラウンドは亀田も攻めに転じ、なかなかの攻撃を見せる。
コンパクトにしっかりとパンチを当てており、良い感じである。
しかしランダエタもここで踏ん張り、ラウンド終了。
第4ラウンドから亀田はコンパクトながらもパワーを上げていくが
いつものようなスピードとパワーがない。
ランダエタが地味に放っているボディーブローが効いているのか
苦しい展開である。
もしかすると、泥試合になる予感も漂っているが
現時点ではランダエタの方が少々有利と言ったところだろう。
そしてラウンド終了。
第5ラウンドは最初から両者中央で足を止めての乱打戦。
疲れがあるとは言え、亀田はライトフライ級ではパワーのある選手であり
そろそろランダエタに疲れが見えてもよい頃である。
その予想通り、このラウンドの途中からランダエタの動きが鈍っており
次のラウンド以降、面白くなりそうである。
折り返しとなる第6ラウンド、そろそろ試合に動きがあってもよい頃だが
タイトルマッチと言うこともあり、なかなか両者共に隙を見せない。
しかしこのラウンドから亀田の左のノーモーションで繰り出されるフックと
必殺の右フックのダブルが有効的に決まりだし
ランダエタもそれを嫌がっている。
これまでの試合の流れから、手数ではランダエタの方にポイントがあるため
出来ればランダエタが疲れてくるこのあたりから手数でもポイントを奪いたい。
そのままラウンドは終了。
迎えた第7ラウンド、前のラウンドでバッティングで
亀田が額を少々切ったようだが
そこまで重い傷ではなく、亀田は気にせず大いに攻める。
開始からやはりランダエタがスタミナ切れ気味であり
亀田のラッシュに腰が引けている状態となっている。
ただ、気になるのは有効打にはなっていないが
ランダエタのパンチも亀田のガードの上から当たっており
それによって、亀田にどれほどのダメージがあるのかが心配である。
その証拠に、このラウンドで攻めているのは亀田だが攻め切れていない。
続く第8ラウンド、そろそろ亀田にも疲れが見えており
パンチが少々大振りになってきている。
コンパクトで強力なパンチが特徴な亀田なだけに
この大振りにランダエタのパンチが炸裂しないかが心配である。
ただ、ガードは未だ下がってはおらず
大振りのパンチも時折みせるだけなので、まだ大丈夫だろう。
このラウンドではなかなか面白い場面が多かったが
まだランダエタも力を残しており、決着はつかない。
いよいよ終盤に突入となる第9ラウンド。
両者共に良い攻防を繰り広げるが
2分30秒あたりで亀田の強烈なボディーブローが入り
一気に畳み掛けるチャンスを得るが、ランダエタが盛り返し
そのままラウンド終了。
非常に惜しかった。
第10ラウンドは開始からいきなり亀田がランダエタを
コーナーに追い詰めての展開。
ただ亀田も口を大きく切っているらしく
ダメージはあるようで、なかなか亀田のペースにはならない。
いよいよラスト前となる第11ラウンド。
スタミナで勝る分、ここで一気に畳み掛けて欲しいところである。
ここまで来るととにかく手を出すのが一番の得策。
そして亀田はそれに忠実にしっかりと手を出し
チャンスを数多く掴んで来ている。
しかしランダエタがここに来て一気に盛り返す。
亀田は完全に足に来ており、ランダエタのラッシュを
クリンチで必死に逃げる展開。
なんとかゴングに救われた形となった。
そして最後のファイナルラウンド。
やはりダメージは抜けていない様で、動きに精彩がない。
ガードは何とか保っているがガードに力が無く
ランダエタのピンポイントで入るパンチが
ガードをすり抜けて入ってくる。
苦渋の表情ながらも、亀田もランダエタの攻撃の合間を縫って
ラッシュを仕掛けるが、力がない。
時折面白いパンチが入るが、そこから更に攻めるだけの
体力がないようである。
最後の最後で力を振り絞りラッシュを仕掛けるが
やはり決定打には至らず、ついに試合終了。
結果は判定に持ち越された。
個人的見解では、やはり11ラウンド以降の攻防と
最初のダウンで非常に不利な立場と言ったところだろう。
判定、1人目はランダエタ。
2人目は亀田。
そして運命の最後の3人目は何と亀田。
これには驚きであった。
この瞬間、亀田興毅がWBA世界ライトフライ級王者に輝いた事になる。
おそらくこの判定は多くのパッシングを呼ぶことになるだろう。
しかし、試合を見る限り誤解の無いようにコメントするならば
ジャッジのポイントの取り方に救われたと言う事である。
と言うのも、ポイントの取り方は様々。
近年、ポイントの取り方がアマチュア化している傾向があり
もしジャッジがアマチュアのボクシングスタイルでポイントを取っていれば
確実にランダエタに軍配が上がっただろう。
たまたまジャッジがそうでなかった為、亀田は勝利する事が出来たのである。
ただここが重要な点なのだが、やはりその実力は
世界に通用するモノであっても、勝ち残れるモノかどうかは
証明されたことにはならないという見方もあるだろう。
まずこの試合が完全なホームである事。
次に戦った相手がチャンピオンではなく、同級1位の選手で
チャンピオンに勝ったわけではないと言う事。
そして近年アマチュア化している傾向からみれば
今回のジャッジは偶然としか言いようがない上に
確率論で言えば、少ない方になるわけである。
おそらく亀田パッシングをする様な人間からしてみれば
何かしらの裏工作でジャッジを集めたと疑われるかも知れない。
それだけに、彼の実力を証明するならば
まだもう少し時間が必要だろう。
とは言え、亀田興毅というボクサーはまだ若く
そして12ラウンド戦ったのはこの試合が初めて。
またこのような大舞台も、当然初めてであり
今回の経験は彼にとって非常に大きな進化の源になるのは間違いない。
今後の彼が成長し、防衛に成功し、次々に相手を倒していけば
そのようなパッシングも影を潜める事だろう。
サッカー日本代表の玉田のような肩入れはまだしないが
彼には大いに頑張って欲しいところである。
次の試合までゆっくり休み、また素晴らしい試合をして
勝って貰いたい。