ついに私の練習ブースにクーラーを設置することに成功した。
クーラーくらいで何をそんなに喜んでいるのかと
お思いの方もいるかもしれないが、実は大事だったのである。
今現在使用しているブースは3年前くらいから使用しているのだが
設置当初、YAMAHAの担当の方にクーラーは設置できないかと
頼んでみたのだが、無理と言われてしまった。
その時は無理と言われたのだから無理なのだろうと
私としては珍しく理由も聞かずにそのまま納得してしまった。
しかしながら最近防音関連の知識が増えてくるにつれて
段々と無理では無いのではないかと思い始めたのである。
と言うわけで、知人に話を聞いたところでは
YAMAHAなどでは防音の数値的な事だけをみて
実際の環境を検証せずに、それまでの例だけを見て
事を話してしまう傾向があるらしい。
というのも、工事をするのはYAMAHAなわけで
もしそれで防音効果が少しでも下がったら大変である。
YAMAHAとしては責任をいちいち取ってはいられない。
ということで、最悪のケースのみを考え、その例で
話を進めてしまうのである。
私の場合もおそらくそのケースに当てはめられてしまったのだろう。
実際にはクーラーの穴程度では、しっかり処理をすれば
防音効果は下がらないとの事である。
しかしながら、実際に取り付けるとなると勇気がいる。
もし、失敗したら全て自己責任となってしまう。
穴を塞ぎ、かつ工事費をまるまる損してしまうのである。
何とか知り合いの電気屋さんに頼んで丁寧な工事をお願いした。
実際にデリケートな音の問題なだけに、お金のやり取りだけの
見ず知らずの業者に頼むのは非常に不安である。
さて、まず問題となったのはブレーカーである。
クーラーには普通それ専用のブレーカーが必要となる。
その電線を玄関のブレーカーボックスから引っ張ってきて
クーラーの室外機などの穴から一緒に引き込まなければならない。
幸いブレーカーボックスには空きがあり、簡単にブレーカーを
取り付けることに成功した。
そして次の問題はいよいよ防音室の壁である。
実はこの壁はただの木材とグラスウールなのだが
この木材が沢山の木材を圧縮した大変堅い合板の集まりで
それが10cm以上の厚さなので、ドリルの歯が焼けてしまった。
この穴を開けるのに苦戦すること30分弱、ようやく穴が空いた。
そして最後はいよいよ部屋からの配管であるが
普通は各部屋にクーラー設置用の穴が空いていて
そこから容易に外の室外機に配管することが可能なのだが
私の家にはその穴がないのである。
マンションなだけに鉄筋コンクリートに穴を開けるには
ダイヤモンドカッターという特殊な器具で穴を開けなければならない。
しかも物凄く大変なのである。
と、心配したのもつかの間、幸い窓の上部に窓を閉めたまま
換気が出来るようにアルミのサッシが入っている。
その幅は配管には十分な幅であったのでそこから配管することになった。
これで窓を開けられなくなるが、逆サイドの窓は開くので問題ない。
5時間以上にも及ぶ大工事の末に、やっとクーラーが設置された。
普通はクーラーを設置するのに時間がかかっても2時間程度だそうな。
さて、最後のテストである。。
実際に中で最大音量でSaxを吹いてみると・・・・。
大丈夫、外には漏れていない。
工事が防音を考慮しないやり方だと、共振したりして音が漏れるのである。
室外機や、クーラー用の穴から音が漏れるのは良くある話である。
しかしながら、その心配もこれでなくなりブース内は非常に快適である。
これでもう私は朝から晩までブースで練習に没頭することが出来るのである。
今までは長くても2時間弱に一度は外に出て涼まないと
とてもではないが、やってられない。
それが、これで何時間でも練習可能となったのである。
いやはや、何とも嬉しい限りである。