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ワールドカップ後記

ついにワールドカップも終わり
何とも言えない気分である。
やはり終わってしまうと寂しいモノで
今から次回が待ち遠しい。
実はここまでワールドカップに熱心になったのは
今大会からで、前大会では日本にのみ注目し
他国の試合まではあまり追求していなかった。
ところが、日本の試合を熱心に見ている内に
やはり他国のレベルとの差や敵情視察もあり
気になって見るようになったのである。

さて、今大会は非常に盛り上がったものの
実はワールドカップ始まって以来の
ハットトリックなしという異例の事態となった。
この事実が物語るのは今大会でストライカーが不調だったのか
それとも近代サッカーのディフェンスが強固なモノになってきているのか
どちらかが理由に挙げられるが、私は後者ではないかと考える。

日本が負けてしまった理由もここにあるのではないだろうか。
つまり今の日本には近代サッカーを知る監督や選手が少なかった事が
非常に痛い原因となっている気がしてならない。
日本の選手の実力は年々上がってきており
まだ世界トップレベルとは行かないまでも、そこまで劣ってはいない。
なのになぜ勝てないのか。
それは欧州、南米のいわゆるサッカー強豪国の監督のほとんどは
直前まで有名な欧州や南米のサッカーリーグで
クラブチームを指揮していた監督であり
現代サッカーの最先端を身をもって体験している監督なのである。
身近な所では、オーストラリアの監督であるヒディンクがそれにあたる。
いくらジーコ監督がサッカーの神様と言われた人物でも
最前線を退いた後は、御存知の通り日本の鹿島アントラーズでプレイし
その後は世界のサッカーに触れていない。
これは今度の監督のオシム監督にも言える事で
オシム監督に関しては確かに有名なサッカーリーグでの監督経験があり
その実績もあるが、彼も日本に来てから時間が経っており
既に最先端のサッカー事情からは遅れている存在である。
そう考えると、以前のフィリップ・トルシエ監督は良かったのかも知れない。
事実、地元開催とは言え日韓合同のワールドカップでは
日本が決勝トーナメント進出を果たしている。
いくら選手が良くても監督の力量が少なければ
ワールドカップのような大会ではもちろんのこと
日本のように挑戦者の立場からすれば
強豪国とのシビアな戦いでは苦しいのは当然である。

また、選手も同じで海外組と国内組の意識の差が歴然としている。
もしWBCのイチローのように、今回の日本代表が中田英寿を
もっともっとリスペクトし、彼を中心にまとまっていたら
結果は全く違ったモノになっていただろう。
そして、中田自身も今回で現役を引退する事はなかったかも知れない。
確かに海外組と言っても試合出場経験が少なく
試合感が鈍っている選手も多いだろう。
しかし、それでも彼らは世界の最先端のサッカーを身をもって味わっており
その意識の高さは理解しているはずである。
つまり、その意識の高さに国内組の選手がついていった時に
初めてポジション争いなどが可能なのである。
今大会で言えば、FWの高原、柳沢、MFでは中村が明らかに調子が悪かった。
彼らは怪我で既に満身創痍の状態であったり、高熱などで不調だったりと
もしこれが強豪国であれば、確実にベンチか代表から外れている。
それでも日本が彼らを使わなければならなかった理由。
それは彼らの意識の高さに国内組の選手が
ついて行っていなかった為ではないだろうか。
確かに彼ら海外組の技術の高さは素晴らしく、国内組でそうそう勝る選手はいない。
しかし、彼らの今大会の状態を前提とすると別なのではと思うのである。
いくら海外で揉まれた彼らでも、怪我や不調の状態なら
国内組でも十分に勝る選手はいたはずである。
事実、今大会で非常に良い動きをしていたFWの玉田が良い例である。
怪我の高原、柳沢と比べれば彼の方が良かったと思うわけである。
玉田に限っては私が一押しという事もあるが、非常に意識の高い選手であり
少々例外な気もするが、それでも彼のような国内組がいると言う事は
他の選手も十分にその域に達する事が出来た証拠でもある。

選手に限って言えば、少々ネームバリューにもこだわりすぎたのかも知れない。
例えばオシム監督が押しているが、なぜ松井を使わなかったのか。
これは私も非常に考えさせられる点である。
不調の中村よりは、派手さがなくても同じ海外でレギュラーをはっている
松井の方が良かったのではないだろうか。
もちろん、選手にはそれぞれ個性があり、戦術によっては
代わりがいない事も十分にあった。
しかし今回の日本代表監督であるジーコの戦術は非常に自由で
ある意味選手任せとも言える。
となれば、彼をチームに入れてフィットさせるようにすれば
面白い結果が生まれたかも知れない。

他にも気になるのは次世代の選手がいるのかどうかである。
現在の中田英寿や中村といった今大会で中心となった選手は
次のワールドカップではもちろんの事、今度のオリンピックでも
年齢から考えて残っている可能性は微妙である。
となるとその次の世代だが、この世代がいない。
前述した松井はまだ若いが、他には大久保や平山などの選手くらいで
世界で活躍する選手が今の日本代表と比べると皆無となる。
オリンピックで大いに活躍すれば次のワールドカップには
間に合うかも知れないが、非常に心配である。
今大会でも若い選手は少なく、その活躍もあまり見る事が出来なかった。
阿部や田中達也と言った選手も代表落ちし、ワールドカップでの経験値が
若い世代に行き渡らなかった。
このワールドカップの経験値は他の国際Aマッチとは比較にならないほど
大きなものであり、それだけにこの状態は大いに痛い。
個人的には神・川口の代わりとなるGKが
存在するのかどうかも気になるところである。
これにはやはりJリーグを見ないと解らないかも知れないが
それでもJリーグの選手が世界で通用する選手かどうかは別問題である

とにかく色々と問題点は多く、課題は山積みとなっており
前大会で決勝トーナメント進出したとは言え
今大会では決勝トーナメント進出はならず
次の大会ではもしかしたら予選突破も難しい。
なぜなら、今大会で決勝トーナメント進出を果たしたオーストラリアは
次の大会からアジア枠での参加となり
アジアでは日本、韓国、サウジアラビア、イラン、オーストラリア、バーレーンなどの
国々がひしめきあう激戦となるからである。
もし予選リーグで同じ組に韓国、オーストラリア、サウジアラビアがいたらどうだろう。
日本が予選リーグを突破出来る可能性は今までよりも低くなる。
特にオーストラリアは今大会で決勝トーナメント進出を果たしており
1回戦で負けたとは言え、その経験値は多く獲得している。
次の監督もヒディンクではないと思うが、それでも今大会で大きく自信をつけ
今後、非常に伸びるチームだという事は間違いない。
まずは次のAsian Cupに向けて再発進と言ったところだが
もう中田英寿の姿はなく、正直心配である。
とにかく、今は新生日本代表にただただ期待して待つ事にする。