世界バレー2006で、日本は二次リーグ第3戦
強豪セルビア・モンテネグロと対戦した。
ここまで来ると当然ながら、どのチームも強い。
普段は格下だったとしても、どうなるかは微妙である。
セルビア・モンテネグロの世界ランクは30位。
日本から比べれば完全な格下である。
しかしセルビア・モンテネグロはここまで全勝。
イタリア、キューバと言った最強の相手を
しっかりと倒しており、全く油断のならない相手である。
既に世界ランクなどでは説明のつかない状況と言えるだろう。
日本は既に決勝リーグ進出が決まってはいるが
目標はあくまでメダルであるため、この試合も絶対に負けられない。
日本のスタメンは竹下、荒木、杉山、木村、高橋、小山
そしてリベロに菅山と、トルコ戦のスタメンだった
落合が再びサブに回り、小山がスタメンに復帰している。
第1セットまずは木村のスパイクが決まり
日本のポイントで試合がスタートする。
しかしやはり今一番勢いのあるチーム。
最初のテクニカルタイムアウトは5-8とリードされて迎える。
その後もセルビアの強力なサーブに悩まされ
日本のバレーが出せていない。
このようなチームの場合、サーブが乱れ出すと
非常に簡単に崩れるものである。
それだけにどうにか相手の精神を乱しておきたい。
完全なセルビアペースのまま試合は進み
2回目のテクニカルタイムアウトは10-16で
大きく引き離されて迎える事となる。
そしてそのまま試合は13-20でセット終盤へ。
日本の移動攻撃が通っているのだが
何ともサーブレシーブが上がらない。
どうにか相手の強力なサーブを封じなければ
この試合厳しいだろう。
16-24でセルビアのセットポイントとなり
日本は粘るが18-25で第1セットを落とす。
続く第2セット、セルビアのポイントで始まる。
このセットもセルビアの高さとパワーの前に
非常に苦しい戦いを強いられる。
最初のテクニカルタイムアウトも3-8と、どうにもならない。
相手のサーブにも苦しめられるが
日本の攻撃も移動攻撃以外は相手の高いブロックに
ほとんど止められてしまい、流れを変える小山も
完全に封じられてしまっている。
サーブに苦しめられても、こちらの攻撃が通っていれば
点差は開かないが、攻撃も通らなくなってしまっては
どうにも厳しい展開となってしまう。
2回目のテクニカルタイムアウトも日本は
流れを変える事が出来ず9-16で迎える。
15-20と第2セットも厳しい状況が続いていたが
ここで日本が杉山のブロックなどで反撃。
19-21と2点差まで詰め寄る。
この状況でひっくり返せば、日本に流れが一気にくるだろう。
その後も杉山の神速ブロードが炸裂。
それに高橋がサーブポイントで続き22-23とついに1点差。
しかしセルビアも踏ん張り22-24とセットポイント。
そのまま最後もセルビアが難しいトスを決めて
22-25で日本は第2セットも連取されてしまう。
迎えた第3セット、まずは高橋の強打で
日本のポイントで始まる。
日本は第2セットの最後の流れをそのまま引き継げば
まだ望みは残されているはずである。
第3セット序盤、ここに来てようやく高橋が爆発。
待ちに待ったが、強弱の攻撃を使い分けての大活躍。
高橋の活躍で日本に流れが戻り
竹下がツーアタックにブロックにとその流れが伝わり
最初のテクニカルタイムアウトは8-4と
この試合始めてある程度のリードを奪う事に成功する。
そしてこのテクニカルタイムアウトの後
竹下がまたもブロックに成功。
これには驚いた。
その後も小山が押し合いに勝ち
そして荒木のブロックポイント、ブロード攻撃と
異常なハイペースで12-4とセルビアを一気に突き放す。
恐らくセルビアのアタックの打ち方やブロックの飛び方
そして強力なサーブに合わせるのに
少々時間がかかったのだろう。
そしてここにきて竹下の連続ブロックなどで
一気に力が爆発した感じである。
既に2セット落としているのは苦しいが
これでようやく本来の日本に戻った感がある。
そして16-9で2回目のテクニカルタイムアウトも
日本が大きくリードして迎える。
願わくばこのままこのセットは取って欲しい。
完全な日本ペースで20-11でセット終盤へ。
セルビアもここに来て粘りに粘るが
この点差はさすがに厳しく24-17で
日本初めてのセットポイントを迎える。
最後はセルビアのサーブミスで25-18で
崖っぷちで第3セットに勝利した。
第4セット、日本にとってはまだ後のない状況。
まずはセルビアのポイントで始まる。
第4セットはさすがにセルビアも立て直しており
序盤は一進一退の攻防が続き
最初のテクニカルタイムアウトは6-8と
セルビアにリードされて迎える。
しかしタイムアウトの後、すぐに日本は連続ポイントで
8-8の同点に追いつき、そのまま長いラリーの末
セルビアの連続ネットタッチで10-8と逆転に成功。
どうにかファイナルセットに持ち込み
ここまで全勝のセルビアに土をつけたいところである。
そして2回目のテクニカルタイムアウトも
木村のサーブポイントや高橋の活躍により
16-12とリードを広げて迎える。
しかしタイムアウトの後、セルビアが3連続ポイントで
1点差に詰め寄ってくる。
ただ、やはり試合の流れは日本に傾いたまま。
高橋、杉山、小山の活躍で再びリードを取り
20-18で第4セットも終盤を迎える。
そしてここで荒木がブロックポイント。
セルビアは堪らずタイムアウトを取り
このタイムアウトからまたもセルビアが連続ポイントで
21-20と1点差に詰め寄る。
しかしここは木村が強打でセルビアの流れを切り
それに高橋がそれに勝る強打でセルビアのブロックを
吹き飛ばして23-21。
そしてその勢いに押されてセルビアのアタックがアウトとなり
24-21とまたも日本のセットポイント。
最後もセルビアのアタックが外れ25-21で
第4セットを日本が連取。
これでセットカウント2-2とし、試合はファイナルセットへ。
運命のファイナルセット、竹下のサーブから粘り
まずは高橋の強打で日本のポイントから始まる。
その高橋に続くように荒木も素晴らしいプレーで
日本いきなりの連続ポイント。
ファイナルセットは15ポイントを先取した方が
勝ちとなるため、早めにリードを奪っておきたい。
しかしセルビアもここで粘り3-4と逆転。
ここまで来ると両チーム必死で目が離せない。
そして一進一退の攻防が続き5-5となったところで
杉山の値千金のブロックポイント。
小山のそれに続き強力なアタックで7-5と
再び日本がリードする。
ところが、ここでセルビアが再び盛り返し7-7と同点。
しかしその流れは杉山が神速ブロードで切る。
本当に杉山の活躍には感動してしまう。
大事なところで本当にやって欲しいと願うプレーを
実現してしまうポテンシャルは素晴らしい。
良い流れの中での良いプレーは当然だが
悪い流れの中で、流れを変える良いプレーは
なかなか出来るものではない。
その後も荒木、小山の活躍で10-8と日本リードのまま
いよいよファイナルセット終盤に突入。
11-9となったところで日本は宝来を投入。
しかしこの宝来の上からセルビアのアタックが決まる。
このあたりの身長差は厳しいところである。
ワンポイントブロッカーだったため、再び高橋が戻る。
そしてその直後、またも荒木のブロックポイント。
高橋もそれに続き13-10。
このファイナルセット、当たり前だが日本代表の
選手の顔が恐ろしいほどに集中しており
見ているこちらに異常な気迫が伝わってくる。
恐らくこの状態ならば負ける事はまずないだろう。
そして高橋がまたももの凄い強打で決めて14-11と
ついに日本のマッチポイント。
最後はその気迫に押されセルビアのミスで15-11で
セットカウント0-2からの大逆転勝利。
正直セットカウント0-2となった時は半分諦めかけていた。
しかしやはり勝負は最後まで諦めないでいた方が勝つ。
何とも素晴らしいメンタルである。
個人的には大友や大山などの能力があっても
メンタルの弱い選手が抜けた事により
チームとしてのメンタル面が恐ろしく強化された様に思える。
この勢いならば明日のイタリア戦も良い結果が残せるだろう。
イタリアに勝利する事が出来れば
ついにメダルが手の届く距離に近づく。
これまで全勝だったセルビアに土をつけた事を
大きな力として、明日の試合にも勝って頂きたい。