ついにWindows Vistaが発売になった。
しかし、その行く先は前途多難である。
売れ行きは芳しくなく、以前の発売の時のように
前夜から異常なほどの行列が出来るような事もなく
秋葉原のような電気街では悲鳴が上がっている。
確かにXP発売の時よりは盛り上がっているようだが
0時からの販売開始後、しばらくすれば閑散とし
やはり物珍しさとOS発売の
イベント目当ての人が多かったようである。
この度のMicrosoftの戦略には消費者も、販売者も
今回は大いに不満があるようである。
まず販売者であるが、販売者がVistaを消費者に売り込む際の
売り文句は現存するXPのHome Editionのサポート期限である。
これまではサポート期限が2009年、つまり2年後であったのだが
先日、Microsoftは2014年までサポート期限を延ばしたのである。
ここに矛盾が生じてしまった。
Microsoftがサポート期限を延ばした理由は現存のXPユーザからの
苦情が殺到した為なのである。
2006年のXPを購入したユーザからしてみれば
サポート期間が短く、不満が爆発したわけである。
しかし、ここに矛盾が生じた。
2006年、Vistaが2007年に発売される事でPCの買い控えが起こっていた。
Vistaが出るのを待つというユーザもいたと思うが
それよりもVistaが出る事によりハードも色々と発展し
情勢が安定してから購入した方が良いとの考えが多かったと思われる。
ところがMicrosoftは現存のユーザの不満が爆発した事で
少数ながら対応しきれずに、サポート期間を延ばしてしまった。
サポート期間を延ばしたことで、今までXPのサポート期間が短い事を
販売戦略としてきた販売者は大きな痛手を被った。
このサポート期間の延長で、XPのサポートが続くのなら
発売したてで、しばらくは安定しないVistaがしっかりと安定するまで
XPを使い続け、問題がある程度出尽くしたところで
周囲の情勢を見極め、Vistaを購入した方が安心と言う消費者を増やし
Vistaへの移行を遅らせた事になる。
ここまでの話だと販売者の不満のみだと思われるが
消費者にも不満は十分にある。
OSが粗雑なのに高額であること。
今回のVistaは大したOSではない。
私も実際にベータ版を使用してみて理解した。
はっきり言えば、MacOSXの真似事でしかない。
OSの時代からすれば完全に時代後れである。
確かにヴィジュアル的にも、性能的にもXPよりも格段にアップした。
しかしヴィジュアルならMacOSXのAQUAの方が数年早く
同じような事をやっているし、性能的にも同じく
MacOSXの方が数年前からスピード感のあるOSを作り上げている。
ただ、これは企業の争い事であり世の常である。
Apple社よりMicrosoft社のOSが劣っているからと言って
それを避難する事は筋違いである。
問題はその後の方針にある。
Microsoft社のOSが劣っていたとしても
現在、世界中で一番使われているOSはWindowsである。
これは紛れもない事実であり、覆せない。
つまり一番売れているOSはMicrosoft社のOSなのである。
ところが、このWindowsが一番高額とはどうした事だろう。
一番売れており、利益が出ているのだから安く出来るはずである。
しかし安くならない。
WindowsのOSはMacOSよりも2倍以上の価格設定。
これでは消費者はたまったものではない。
これが消費者の不満なのである。
いつもならここで記事を終えるところだが
ここで製作者の意見を考えてみよう。
MicrosoftとAppleの違いはなんだろうか?
まずAppleはハードを一緒に販売していると言う事。
つまり、Appleの販売するMacintoshを販売できるのは
Appleだけであり、その利益は全てAppleにある。
しかしMicrosoftはハードを一緒に販売しておらず
主戦力となるモノはWindowsOSとOfficeだけ。
世界的にはハードも販売しているが
日本ではあまり売れておらず
最近ではXBoxなどのゲーム機なども
Wiiなどのゲーム機に完全に押されている。
ただ、この主戦力となる2つのソフトウェアが
世界のビジネスを動かしていると言っても
過言ではない程のシェアを誇っており
それで全ての利益を得るしかない。
そしてMicrosoftほど膨れあがった会社を
継続させるには、莫大な利益を上げる必要があり
その為にはこの価格も仕方ないと
Microsoftの人間は言うだろう。
この販売者、消費者、製作者の3方の利益が
一致する事は非常に難しい。
仮に上手く行ったとしても、それを継続するのは
上手く行く事よりも、もっと難しく
何とも厳しい事である。
ただ、ここまで言ったのだが
やはり個人的に意見としては
「だったら値段相応の素晴らしいOSを作れ」である。
値段はそれで仕方ないかも知れないが
中身がお粗末ではやはり納得が行かない。
今後のMicrosoftの進化に期待したい。