ボクシングライトフライ級王者となり
フライ級での王者を目指す亀田興毅が
2階級制覇に向けて最初の一歩を踏み出した。
相手はWBCフライ級12位のエベラルド・モラレス。
既に亀田はWBAフライ級で1位、WBCで3位に
ランクインされている為、相手は格下となるが
亀田のフライ級での試合はこれが初めてである。
事前の計量でエベラルド・モラレスが計量失敗し
200gオーバーとなり、亀田側がそのオーバーを認めた為
51.0kg級での試合となった。
まずは第1ラウンド、亀田は様子を見ながら試合を進める。
亀田は本来フライ級がベストウエイトであり
体つきも非常に良い仕上がりである。
第1ラウンド中盤から亀田の左カウンターが当たり出し
前回の試合同様に非常にクレバーに試合を進めている。
ビッグマウスではあるが、実力はそれに似合ったものである事に
間違いは無いようである。
そのまま第1ラウンドは終了。
第1ラウンドは亀田上々のスタートである。
続く第2ラウンド序盤はモラレスが盛り返す。
しかし亀田もそれにしっかりと対応しつつ応戦し
白熱した試合展開となる。
ランダエタ戦とは違い、亀田はこの試合で
非常に質の高い防御を展開し
しっかりと肘を締めてモラレスの攻撃を
完全に防いでおり、相手の打ち終わりを狙った
カウンターで試合を進め、第2ラウンドも
終わってみれば亀田のペースとなる。
第3ラウンド、亀田はあまり打たずに
モラレスに打たす展開となる。
亀田は要所で重いパンチを打つが
このラウンドはモラレスのボディーブローが
炸裂するなど、亀田に取っては少々分が悪い。
亀田の攻撃も徐々にモラレスに
蓄積されている事は間違いないが
現状でその効果は見えていない。
そのまま第3ラウンドは見た目的には
モラレスに分があるまま終了。
迎えた第4ラウンドは序盤から亀田のパンチが当たる。
どうやら第3ラウンドは温存していたようである。
このラウンド、亀田の非常にコンパクトでシャープな
攻撃がモラレスにヒットするのだが
さすがはメキシコのボクサー、ダメージを感じさせず
逆に亀田に打ってかかる。
このあたりは簡単には勝たせてくれない。
そのまま第4ラウンドは終了。
ポイントでは亀田のラウンドだろう。
第5ラウンド、亀田はモラレスのタフさに焦ることなく
しっかりとモラレスを攻め立てる。
このラウンド序盤にバッティングでモラレスの
額が切れるアクシデント。
しかし大きく切れているわけではないので
レフリーストップはなく、そのまま試合続行。
そしてこのラウンドの終了間際に
ついに亀田の左が炸裂し、モラレスがダウン。
終了間際だった為そのままラウンドは終了した。
そして迎えた第6ラウンド、亀田は勝ち急がずに
モラレスに対し冷静に試合を進める。
モラレスの額の傷はどうやら止血完了されており
大きな出血はない模様。
このラウンド中盤でお互いに足を止めての打ち合いとなり
モラレスも頑張ってはいるが、明らかに押されている。
しかしながら、モラレスのパンチは死んでおらず
亀田が安心するにはまだ早いようである。
第5ラウンドでダウンしたとは思えないモラレスの試合運びだが
第6ラウンドは亀田のラウンドとなった。
続く第7ラウンド、まずはお互い冷静に試合を運ぶ。
第6ラウンドの打ち合いで消耗した体力を
回復しているかのような試合運び。
このラウンドで徐々に亀田のガードが緩くなっている。
さすがの亀田も少々疲れが出て来たのだろう。
しかしそれはモラレスも同じ。
両者共に大きな展開はなく、次のラウンドへ。
第8ラウンド、亀田はもう一度ガードを締め直す。
あまり自分は動かず、モラレスを動かして
モラレスの打ち終わりを狙う試合展開。
どうやらこのラウンドはモラレスに打たせ
モラレスの体力を減らす作戦なのだろう。
終始モラレスに打たせ、このラウンドは終了。
そして第9ラウンド、モラレスは大分顔の腫れが目立つ。
亀田の顔と比較すれば、この試合の優劣は明らかである。
しかしそれでもこのラウンドのモラレスは驚異的である。
亀田を大いに攻め立て、クリーンヒットは少ないが
見た目には亀田が押される展開である。
終盤で亀田がやり返す場面があったが
ポイント的には微妙だろう。
迎えた最終ラウンド、序盤からモラレスが打って出る。
個人的にはこのラウンドは亀田が一気に仕掛けると思ったが
冷静に対処している展開となった。
亀田はピンポイントにパンチを当て、1分20秒あたりで
モラレスにクリーンヒット。
このクリーンヒットをきっかけに、ここで亀田が仕掛ける。
しかしこれでもモラレスが倒れない。
とにかく異常なほどのタフさである。
亀田は仕掛けはしたが、冷静さは失わず
最終ラウンドはポイントでは完全に亀田が上回る展開となり
試合終了となった。
KO劇は残念ながら見られなかったが
ポイントでは勝利したと思われる。
いよいよ判定の瞬間だが、やはり3-0で亀田に軍配が上がった。
モラレスのタフさが目立ったが、パンチは亀田に届いておらず
これは当然の判定と言えるだろう。
今回の試合で驚くべき事は亀田の冷静さである。
明らかにランダエタ戦よりも戦略的な試合運び。
そしてウエイトをベストのフライ級にした事によるパワーアップ。
誰の目にも明らかにボクサーとして進化しており
今年中にフライ級王者を獲得する夢が現実味を帯びてきた。
今後の亀田興毅に大いに期待したくなる試合であった。
さて、サッカー日本A代表は、キリンチャレンジカップで
ペルーと今年最初の試合を行った。
注目は何と言っても日本のスタメンである。
昨年の沈黙を破り、ついに欧州組の招集。
そして中澤の代表復帰。
注目のスタメンはGKはもちろん神・川口。
DFは中澤、闘莉王、加地、駒野。
MFは中村、遠藤、阿部、鈴木。
FWは高原と巻のツートップ。
この試合は今までのスタメンと全く違うので
どのような試合展開になるか予想がつかない。
高原、中村、中澤とドイツW杯のメンバーが戻った事で
オシム監督の考えるビジョンがどこまで再現されるか
非常に注目の一戦である。
個人的な注目点は中村から高原へのホットラインや
高原と巻との絡み、そして今まで中澤の代わりとして
活躍してきた長身、闘莉王と中澤の共演。
そして闘莉王のオーバーラップや加地、駒野の
サイドバックの上がりを中村がどう使うか。
何とも楽しみである。
日本の高原のキックオフで試合開始。
日本の立ち上がりだが、少々堅い。
初めてのメンバーと言う事もあるが
ペルーに押される場面が多い。
しかし、この攻撃を弾き返すのが中澤である。
攻め込まれている展開とは言え、嬉しい限り。
前半も時間が経つにつれて徐々に日本の堅さが取れてきた。
特に駒野の上がりは完全にペルーを凌駕しており
非常に面白い展開となる。
ただ、ペルーも序盤の立ち上がり以降、非常にハイペースな
攻撃を見せており、日本が攻め入られる場面も多い。
また、欧州組と国内組とのイメージの差が目立つ。
中村や高原のパスに対して国内組がついて来ていない。
欧州組の2人はいつボールが来ても良い姿勢であるのに対して
国内組は多少の油断が見られる。
しかし前半19分、ついに試合が動いた。
高原が突破で得たフリーキックを中村が蹴り
それが芸術的な弧を描いてゴール前へ上がり
それをこれまで得点出来ずに悩んでいた巻が
完璧なヘッドで地面に叩きつけてのゴール。
空中で完全に抜け出しており
やはり空中戦での巻のポテンシャルは大きい。
それぞれがしっかりと仕事をした結果でのゴール。
何とも嬉しい結果である。
このゴールを考えると、今まで巻が点を取れなかったのは
地上での巻のボールコントロール能力もあるが
巻に対して良いクロスを挙げる選手が
不在だったと言う事も考えられる。
この巻の先制ゴールから日本が猛攻を仕掛け
選手が波に乗りだした。
特に高原の駒野の突破は光るモノがあり
ペルーは彼らをファウルで止めるしか方法がない。
そしてこのファウルで生まれるフリーキックからの
得点チャンスと、良い流れが日本に来ている。
後はディフェンス面の安定性である。
現状、攻めているので目立っていないが
日本のディフェンスが完璧とはまだ言い切れない。
前半が進むにつれ、雨が降り出し
ピッチコンディションに変化が見られる。
出来ればベストのピッチコンディションで
この試合を見たかったが、致し方ない。
前半30分を過ぎたあたりで、ペルーの勢いが落ちる。
やはり序盤に飛ばしすぎたのだろう。
日本の後衛がボールを持っていても
あまりチェックに行く場面がない。
逆に日本は雨にも負けずにしっかりと試合を運んでいる。
日本のディフェンスのシステムも徐々に安定してきており
攻め込んだ時や、オーバーラップした時の対処も
安定感をまし、ペルーのカウンターにも対処出来ている。
ただ、ペルーの選手は数で日本のディフェンスが勝っていても
それに打ち勝つだけのポテンシャルを持った選手がおり
このあたりの戦いは非常に面白い。
システムがしっかりしていれば、後は選手と選手の戦い。
それで負けるのであれば、まだ諦めがつくというものである。
ただ、願わくばその戦いに勝って当然と行きたいところだろう。
そのまま前半は日本の流れのまま終了。
最初の得点が巻であり、そのアシストが中村。
そしてフリーキックを作り出したのが高原と
活躍して欲しい選手が活躍した結果となった。
後半も大いに期待したい。
ペルーのキックオフで後半開始。
ペルーはGKを代えてきている。
後半は両チーム白熱した試合展開で
どちらも引かない面白い試合。
前半通用していた日本のサイドからの攻撃も
ペルーは後半になり、徐々に対応しつつある。
後半は雨はやんでいるようだが、風が強く
まだベストなピッチコンディションとは言えない状態。
しかしそんな難しい状態の中で後半9分に
高原の恐ろしいシュートが炸裂する。
強い風の中、中村の絶妙なフリーキックが
高原の足下へ落ち、高原はゴールを背にワントラップし
振り向きざまの恐ろしいスピードで足を振り抜き
これが見事にゴール。
これで日本は2-0とリードを広げ
このリードで日本は精神的にも
大きく優位に立った事になる。
この得点の後、日本は阿部に代えて中村憲剛を投入。
中村俊輔が中村憲剛へ絶妙なパスを送るなど
面白い場面も見られる。
そして後半22分、巻に代えて矢野、遠藤に代えて羽生を投入。
疲れの出てくるこの時間帯にこの2人を入れる事で
機動力を再度アップさせる試みである。
特に羽生の運動量は定評があり、この時間帯での投入は
非常に面白い起用である。
ペルーも同じく2人交代し、こちらもリフレッシュを図っている。
羽生は投入直後からいきなり飛ばしに飛ばし
そのスピード溢れるプレイで日本を引っ張る。
また、矢野にもボールが集まり得点チャンスを演出する。
巻と同じく長身を活かしたプレイで得点と行きたいところである。
後半30分を過ぎた辺りで、両チーム共に足が止まり
試合は膠着状態となる。
羽生や高原を活かす事が出来ず
日本としては望ましくない試合展開。
リードはしているが、もっとシュートまで持ち込むような
流れを見せて欲しいものである。
そして後半38分、日本は一気にカードを切る。
鈴木に代わって家長、中村俊輔に代わって藤本
そして高原に代わって水野を投入。
U-22の若い力をここで投入する。
このリフレッシュで日本はまた息を吹き返し
ペルーに対し猛攻を仕掛ける。
欧州組が抜けた後でも得点出来るところを
ここで見せて欲しいところである。
日本が猛攻を仕掛けながらも動きのないまま
試合はロスタイムへ突入。
最後の最後で水野の突破からフリーキックを得て
それを藤本が素晴らしいシュートでゴールを狙うも
僅かに枠を外し、そのまま試合終了。
U-22の力で追加点と行きたかったが、残念である。
終わってみれば今まで勝利した事のないペルー相手に
2-0の快勝である。
ただ、ペルーはこの遠征に僅か15人で来ており
しかも、そのうちの1人が怪我で欠場となり
この試合は14人で戦っており、ベストコンディションとは言えない。
その為、この試合に勝ったからと言って
ペルーに打ち勝ったとは言い難い。
日本にとっての収穫は高原、中村俊輔の欧州組が
オシムジャパンに初めての招集ながら
しっかりとフィットしていたと言う事。
そして両名ともしっかりと結果を出したのも収穫である。
また、国内組でも苦しんでいた巻が
中村俊輔のフリーキックから得意のヘッドで
オシム監督になって初めてのゴールを挙げたのも
今後の日本代表に取って大きな出来事だろう。
巻がこの得点で調子に乗ってくれれば
大いに面白くなるだろう。
勝利したとは言え、問題のポイントも多い。
まずは連携が悪い。
連携の悪さからペルーに攻め込まれる部分が多く
これがベストコンディションのペルーであれば
確実に得点されていた場面も数多くあった。
また欧州組と国内組とのイメージの差が大きく
中村や高原の動きに国内組が一歩遅れている部分がある。
国内組だけならイメージの統一感はあるが
それは世界レベルでは全く通用しない。
その為にも、時間をかけてそのイメージの
統一をしていかなければ上手く行かない。
オシム監督が抱いているイメージを
より深く浸透させるべく、時間をかけるべきなのだろう。
今後の個人的希望のポイントとしては
未だ招集されていない欧州組の招集である。
特にルマンの松井と中村俊輔とのコンビは
大いに興味深いポイントである。
おそらく今回の欧州組の招集は
2人ともそれぞれのチームである程度の地位を獲得し
日本代表に呼んだ事で、所属するクラブチームに
影響が無いとの判断により呼んだモノと思われる。
海外のクラブに所属しながらも呼ばれていない
松井や三都主などの主力と成りうるメンバーの
共通点は、未だチームでの地位を獲得しきっておらず
それを優先させる為に呼んでいないのだと思われる。
たとえ海外クラブチームに入ったとしても
そのチームでレギュラーの地位を獲得しなければ
海外の強豪リーグで試合に出られず
結果として国内のJリーグで毎試合出ている選手の方が
試合感覚に優れている結果を生んでしまう。
オシム監督がどのシチュエーションなら海外組を
自分の思うとおりに招集するが解らないが
それがアジアカップなのか、ワールドカップなのか。
今度のアジアカップでその考えが明らかになるだろう。
また、今回参加したU-22のメンバーが
フル代表での洗礼を受けて
今後のU-22での試合にどう活かすかも
気になるところである。
とにかく、今回のペルー戦ではオシム監督に
良い意味でも悪い意味でも大きな収穫があった事は間違いない。
次の日本代表の試合に大いに期待したい。