サッカー日本A代表の今年最後の試合で
日本はエジプトと対戦した。
今回はU-22日本代表組と欧州組は不在。
それでも今の日本の選手層は厚く、何とも心強い。
この試合では大久保、前田、播戸などが招集されており
彼らのプレイに注目が集まる。
エジプトは格下とは言え、アフリカネーションズカップで
優勝した実績を持つ相手。
気を抜いてかかると確実にやられる相手である。
日本のスタメンはGKに川口。
DFに中澤、阿部、加地、駒野
MFに遠藤、中村憲剛、鈴木、山岸
FWに大久保、前田。
大久保はFW扱いだが、彼のプレイスタイルからすると
前田の変則的なワントップと考えた方が良いかもしれない。
対するエジプトはFWが4人という超攻撃的布陣で臨んできている。
エジプトのキックオフで試合開始。
エジプトは立ち上がりから布陣通りの攻撃的な姿勢で
日本陣内へ攻め込んでくる。
試合はエジプトのボール支配時間が長いが
日本は要所でしっかり守っており
守備には安定性が見受けられる。
そんなエジプトの攻撃の間を縫って
日本はワンタッチで一気にボールを運び
シュートまで持って行くなど、攻守の切り替えが良く
この試合は面白くなりそうである。
そのまま白熱した攻防が続く中、大久保が
エジプトのDF2人相手に突破を図り、そこからFKを得るなど
日本は攻撃のチャンスを何度も得るが
何とも得点につながらない。
この理由は日本が悪いと言うよりも
エジプトが上手いと言った方が良いだろう。
中東のチームの様な荒々しい力強さと
欧州のクレバーなサッカーを併せ持った
非常に面白いチームである。
試合前の私の予想とは大きく違い、このチームは強い。
さすがはアフリカ大陸で1位になっただけの事はある。
そんな中で前半21分、ついに試合が動いた。
ペナルティーエリア外でこぼれたボールをしっかりとトラップし
素早く詰めてきた相手DFを上回るスピードで抜き去り
強引に前を向いての強力なミドルシュート。
これがゴール右上隅に決まり1-0と日本が先制した。
この大久保のポテンシャル、素晴らしい。
こういった荒々しさが彼の持ち味と言えるだろう。
そのまま試合は進み、前田に決定的なチャンスが
2度ほど訪れるが、決められない。
どうもゴールが遠いと思っていたら
前半41分、またもゴールが。
右サイドから遠藤が上げた高いボールに対し
完璧な飛び込みで打点の高いヘディングで
ボールを叩きつけてのゴール。
この試合の大久保は非常に面白い。
これで2-0と日本は2点のリードを奪う。
そのまま前半は2-0で終了。
後半に向けてオシム監督がどう動いて来るか楽しみである。
迎えた後半、エジプトはFWを一枚代えてきた。
日本の交代はない。
日本のキックオフで試合再開。
立ち上がりから両チーム中盤で激しいボール争い。
両チーム共に素早いパスワークが持ち味なだけに
それを潰すべく、とにかく忙しい中盤の戦いとなり
まさに中盤を制した方が勝つと言う
サッカーの黄金定理に基づいた試合展開となっている。
そんな後半8分、ついに嬉しいゴールが訪れた。
前半から何度もチャンスを貰いながら
得点できなかった前田が、中盤から一気に抜け出し
山岸をワンツーに使って相手を抜き去って
そのままGKと1-1となり、綺麗にゴールに流し込んだ。
これでFW陣で3得点となり、日本に取っては嬉しい材料が揃った。
攻撃面でFWは結果を出し、残るは中盤とディフェンス。
特にこの難しい中盤を完璧に制してこそ
完璧な試合と言える。
それだけにミスを少なく、中盤を支配して行きたいところである。
しかし後半11分、日本ペナルティーエリア付近で
山岸が故意ではないがハンドを犯してしまう。
そしてこのフリーキックを綺麗に決められて
3-1と再び2点差に戻されてしまった。
山岸のハンドでのフリーキックだったが
責めるべきは山岸ではなく、その前に中盤でくだらないミスが続き
そこをエジプトに攻め込まれた形となった部分だろう。
大きくリードを奪ったところで安心するようでは
この先が思いやられてしまう。
リードを奪った時こそ、集中してしっかりとプレーする事が
今後の日本にとって大事な事だと言えるだろう。
そのミスを払拭するように後半22分、日本にゴールが生まれた。
左サイドからのサイドチェンジのボールを加地が受け
詰めてくる相手DFを絶妙なフェイントで完全に置き去りにし
フリーになったところで利き足ではない左足を振り抜き
相手ゴール左隅にボールを流し込んだ。
これで4-1と日本はエジプトに行きかけた流れを一気に引き戻した。
その直後、今度はオシム監督が大きく動いた。
後半分、何と3人の交代枠を一気に使っての交代。
山岸に代えて橋本、鈴木に代えて今野
遠藤に代えて藤本を投入し中盤を一気にリフレッシュさせて来た。
播戸が何とも悔しそうな顔をしていたのが印象に残る。
個人的に好感の持てる選手だったので少々残念であった。
しかし驚くべきはエジプトの攻撃的な姿勢。
普通ここまでリードされれば、多少戦闘意欲が削がれるものだが
そんなそぶりは全く見せず、むしろより攻撃的に日本を攻めに来る。
さすが超攻撃的なチームと言われるだけある。
この精神的な部分、日本は大いに見習いたい部分である。
そのまま両チーム最後まで良い試合展開を見せるが
得点シーンはなく、4-1のまま試合終了のホイッスル。
終わってみれば4-1と日本の大勝と言えるが
気になるのはやはり中盤でのミスの多さ。
やはり中村俊輔や松井などの不在が響いたのか
ミスがあまりに多い。
エジプトの素早いパス回しに対応はしていたが
ミスが多い分、その良さは帳消しになってしまう。
相手がエジプトだから良かったが
エジプトのチャンスの回数を考えれば
試合結果がひっくり返っても不思議ではない試合展開。
中村俊輔が入ればどうにかなるとは思えないが
この中盤をどう強化するかが今後の鍵となるだろう。
個人的には、ここに中田英寿がいれば
どんなに心強いだろうと考えてしまう試合であった。
来年の日本代表の成長に大きく期待したい。
さて、今度は北京五輪最終予選の大一番。
U-22日本代表はアウェイでカタールと対戦した。
この試合に勝利すれば日本は北京五輪本戦出場に
王手がかかり、逆に負ければ1位陥落で追い詰められると言う
本当に大事な試合である。
日本のスタメンはGKに山本
DFに伊野波、細貝、水本、青山直晃、そして内田
MFに青山敏弘、本田圭佑、そして水野と柏木
FWは李のワントップ。
個人的にはFWは森島だと思っていたが
この大一番で反町監督は李を起用してきた。
平山でない事にホッとした瞬間である。
注目なのは内田、水野、柏木の3名である。
彼らがこの試合の鍵を握っていることは間違いない。
内田のスピードに乗ったオーバーラップや
柏木の中盤での配球力
そして水野の無尽蔵のスタミナと無限の可能性。
これらが合わさった時に日本にゴールが生まれるのである。
対するカタールは完全に勝ちに来ており
布陣は勿論最強の布陣。
そして会場はカタール一色という負けを許されない環境。
今までのカタールのイメージは捨て去り
強力な中東のチームとして再認識して戦う必要がありそうである。
カタールのキックオフで試合開始。
日本は立ち上がりからボールを奪い
李が一気に攻め込むなど、カタールの出鼻を挫く。
その後も日本はカタールのボールを奪い
一気にカウンターへ持って行き、水野がシュートを打つなど
立ち上がりからカタールが攻めるかと思われたが
日本のペースで試合が進んでいく。
カタールは前半2分、いきなり攻め込んだ李を倒し
イエローを貰うなど完全に出鼻を挫かれた格好となった。
しかし前半10分を過ぎたあたりから
徐々にカタールに流れが傾く。
試合展開がスピーディーになり
日本にばたつきが見られるようになる。
その後は完全に乱戦状態。
両チーム全く譲らず、肝を冷やす場面が連続の
何とも落ち着かない試合展開のまま
時間が過ぎ、前半40分を過ぎた。
そんな前半42分、コーナーキックから
水野がセンタリングを上げ
本田圭佑がゴール前でGKと競り合い、こぼれたボールを
青山直晃がカタールゴールに押し込んだ。
この前半終了間際の得点は大きい。
カタールもこの時間帯での失点は痛いだろう。
会場のカタールのサポーターも静まりかえり
日本に取っては最高の先取点となった。
この日本の先取点の後、カタールは時間が無いのを良い事に
片っ端から前線にボールを送ってくるが
日本は何とか守り切り、無事に前半終了。
日本は前半を1-0とリードで折り返した。
迎えた後半、日本のキックオフで試合再開。
この後半、驚きの交代劇があった。
水野に代えて家長を投入したのである。
あれだけの運動量とスピードを誇る水野を下げるとは
全く理解に苦しむ交代である。
どうやら水野が機能しないからという理由のようだが
それは水野のせいではなく、反町監督に
水野を上手く活かせる采配の力がないからである。
さてこの後半、大いに心配になって来た。
カタールはやはりリードされているという事もあり
前半の勢いのまま攻め込んでくる。
日本は後半開始早々からフリーキックを与えてしまったり
ペナルティーエリア内まで攻め込まれたりと
全く落ち着かない立ち上がりとなった。
日本は何とか守りながら、柏木を中心に攻めるが
やはり李が前線に1人いるだけでは数が足りない。
体力の消耗を考えるならこの布陣で良いが
追加点を狙うなら李では難しいだろう。
試合は徐々にヒートアップし後半21分に
カタール選手にイエローカードが出るなど
カタールにも焦りが見える。
時を同じくして、ここで李に代えて森島を投入。
攻めながら守れる強力なFWを投入し
この布陣のまま追加点を狙うようである。
しかし、後半31分ついにカタールにゴールが生まれた。
前半の日本の得点と全く同じ状態。
コーナーキックでこぼれたボールを押し込まれてしまった。
1-1と同点になっただけとは言え
会場は一気に盛り上がりを見せ、完全なアウェーの環境へ。
アウェーでの戦いでは、引き分けは勝利という言葉があるが
この試合に関しては意味合いが違う。
この試合は勝ってこそ意味があるのである。
引き分けでも日本に北京五輪への道は十分残されているが
五輪でメダルを狙うならこのくらいの修羅場は
絶対に切り抜けて欲しいものである。
この勢いに任せてカタールは反則のオンパレード。
GKの山本に対して再三のファウルや
カタールのペナルティーエリア近辺でのファウルなど
もうお構いなしにファウルで止めてくる。
しかしその分イエローも出ており
ジャッジは公平なようである。
そんな中、今度は森島がカタールのペナルティーエリア内で
ハンドの反則を犯し、これが故意に見えたようで
痛恨のイエローを貰ってしまう。
これで森島は次のアウェーでのベトナム戦に欠場となってしまった。
そして後半42分、日本はここまで中盤を支えてきた柏木に代えて
上田を投入しリフレッシュを図る。
さすがに高温多湿のピッチでは、柏木も疲労の色が濃い。
後半44分、あまりにバカバカしいイエローを
家長が貰ってしまう。
ホイッスルが明らかに鳴っているのにプレイを続け
この行為に対してイエローを出され
家長まで次戦出場停止。
何とももったいない。
試合は3分のロスタイムに入り、両チーム疲労困憊状態。
足を攣る選手も出てきており、無理なプレイが続出。
怪我だけは気を付けて欲しいものである。
そんな後半終了間際、残り10秒もないところで
日本ペナルティーエリア内で青山敏弘が痛恨のハンドを犯す。
このPKをカタールに綺麗に決められ1-2と
土壇場にきてカタールに勝ち越されてしまった。
まさにカタール・ドーハの悲劇が再び訪れたのである。
もう言葉もない。
この直後、カタール選手が意味もなく倒れ込み
お得意の時間稼ぎが始まる。
それも影響し、試合再開と共にホイッスルが鳴り
日本が1-2で敗れた。
まだ望みはあるが、何と情けない試合だろうか。
個人的には選手を責めたくない。
どういうわけか、この敗戦で異常に頭にきたのは
反町監督の采配である。
なぜ途中で水野を代える采配になったのか?
なぜ最初から森島を使わなかったのか?
選手の起用方法だけでなく、システムに関しても
ベストな選択だとは思えない。
オシム監督ならこんな采配は絶対にしなかっただろう。
普段なら私は監督に対して頭にくる事は
そうそうないのだが、今回はとにかく腹立たしくて仕方がない。
この土壇場で監督を更迭するわけにも行かないが
とにかくこの反町監督の愚行が許せない。
滅多にこんな気持ちにはならないのだが
今回だけは別のようである。
しかし、終わってしまった事に捕らわれている時間はない。
日本の北京への道はまだ残されている。
この敗戦でカタールと勝ち点が並んだ。
得失点差で1点分負けており、2位になっているが
今後の試合はアウェーでのベトナム戦と
ホームでのサウジ戦。
この2試合をとにかく1点でも多く入れて勝つ事。
これが今のU-22日本代表に出来る事であり
それを応援する事がサポーターに出来る唯一の事。
とにかく次のベトナム戦、期待したい。