北京五輪最終予選でサッカー日本代表は
ついに大一番、ホームでのサウジ戦に臨んだ。
現在日本はグループ1位だが、サウジも2位につけており
この直接対決で日本は引き分け以上で
北京への切符を得る事が出来る。
しかしながら、負ければそこで北京への道が絶たれてしまうと言う
本当に天と地ほどの差がある試合となってしまった。
日本のスタメンは
GKに西川
DFに伊野波、水物、青山直晃
MFに水野、本田圭佑、柏木、青山敏弘、細貝
FWは李と岡崎のツートップとなっている。
サブには森島と梅崎が入っており
完全ではないが、現在のベストメンバーが揃っている。
サウジアラビアのキックオフで試合開始。
立ち上がりから中盤での激しいボール争いとなり
両チーム全く油断のない感じがにじみ出ている試合展開。
そんな展開の中、細貝がディフェンス時に倒され
サウジにイエローカードが出る。
最終予選最終戦と言う事もあり
カードが2枚でなければ意味がない。
ラフプレイの多いサウジが相手だとこの展開は危険であり
怪我は避けたいところである。
前半5分、相手ペナルティーエリア付近で柏木が倒され
FKを得るなど、徐々に日本がしっかりしたディフェンスで
良い流れを掴み出す。
逆にサウジは勝利しか許されない状態からか
ラフプレイでファウルを取られ、流れを掴めていない状態となった。
しかしながら前半8分、カウンターを仕掛けた水野が
ボールを奪われ、そこからサウジがカウンターを返し
あわやゴールと言う場面で、西川がミラクルセーブで弾く。
そのこぼれたボールを再び押し込まれたのを
今度は青山直晃がブロックするなど
サウジに攻められながらも日本に運があるようである。
前半10分を越えた辺りから、流れは完全にサウジペース。
日本は何度も危険な場面を迎えるが
神の名を受け継ぐ男・西川が何とか防ぎ
ディフェンス陣も良い対処で得点には至らない。
しかしながらいつ得点されても可笑しくない状態に変わりはない。
非常に長いサウジの流れの後、前半17分を越えた辺りで
ようやく日本に流れが戻り始める。
水野が驚異的なボールさばきで相手DFを抜き去り、クロスを上げたり
李が抜群の飛び出しで相手GKとルーズボールの争奪戦になるなど
素晴らしいプレーが続く。
前半25分、左サイドから一気に前線へボールが入り
それを李が強烈なロングシュートに持って行くが
僅かに左に外れる。
残念ながら得点には至らなかったが、魂のこもった良いシュートであった。
そして前半28分を越えると、再び流れはサウジへ。
やはり西川や細貝、柏木、青山直晃らがしっかりと守り
得点には至らない。
この試合、本当に両国のガチンコ勝負と言った感じで
非常に見応えがある試合展開となっている。
もしこれが自分の国では無くても、面白い試合と言えるだろう。
その後、流れはどちらとも言えない状況で
白熱した試合展開となるが、これが見応え十分。
残り10分を過ぎた辺りの試合は本当に面白い。
もちろん勝って欲しいが、サッカーファンとして
この試合を見る事が出来た事実が嬉しい試合である。
前半41分くらいから、流れは再び日本に来ており
決定的な場面が続くが、得点には至らない。
これは日本の問題というよりも、サウジアラビアの
プレーを誉めるべきだろう。
試合は1分のロスタイムに突入し
日本はギリギリまで攻め続けるが、得点はなく前半終了。
後半もこのモチベーションのまま、最高の試合を見せて欲しい。
日本のキックオフで試合再開。
試合開始直後、李が芝生に足を取られて痛がる場面があり
その映像から、大事に至ったのかと心配したが
問題なく走り出し、事なきを得た。
その後も立ち上がりから前半終了間際と変わらぬ白熱ぶりで
本当に見ていて気持ちの良い試合である。
試合はやや日本が押しているように見えるが、安心は出来ない。
ただ、日本の方が決定的な所まで持って行く場面が多く
李や水野、柏木、本田圭佑、青山敏弘などが果敢に攻め上がる。
後半5分、後半8分と日本は何度も決定的なチャンスを得るが
驚異的なのはサウジのGKのワイード。
もの凄いミラクルセーブの連発で日本の得点チャンスを
ことごとく潰してくる。
やはり北京への気持ちが全面に出ているのだろう。
後半14分、サウジが先にカードを切る。
激しい中盤の激戦で消耗した選手を代えて
同じような攻撃的な選手を投入してきた。
日本は柏木の精度の高いコーナーキックなどで
チャンスを狙うが、やはりサウジのディフェンスが厚い。
この試合、1点が勝敗を分ける試合になる事は間違いなさそうである。
こういった試合展開の時は、時間が経つのが速く
試合はあっと言う間に残り20分を切る。
日本は立ち上がりから、驚異的な集中力で
非常に白熱した試合ながら流れを掴んだまま
サウジアラビアを攻め続け、いつ得点しても
全く不思議ではないのだが、なかなか決まらない。
後半28分、サウジは2枚目のカードを切り
再び中盤の選手を代えてくるが、この選手がいきなりのミス。
入った直後にファウルでイエローを貰うという
日本にとっては助かるアクシデント。
そして試合もついに後半30分を過ぎ、時間が少なくなってきた。
日本としてはこの辺りで得点しておけば
引き分け以上で最終予選突破が決定するだけに
リスクを考えながらも、得点が欲しいところ。
確かに引き分けでも良いのだが、北京でメダルを狙うなら
ここは勝利で終わりたい。
両チーム集中力を切らさず、最高の試合を展開する中
試合はいよいよ後半40分を過ぎ、時間が無くなってきた。
これまで攻め続けた日本にも、さすがに疲れが見え
流れはどちらのものとも言えない状況となるが
日本は選手交代の気配はない。
恐らく選手交代出来ないのだろう。
現状、ピッチに出ている選手があまりに高いモチベーションで
戦っているため、交代させづらいのだろう。
そして後半42分、サウジはMFを下げてFWを投入し
最後のカードを切り終えた。
後がない状況で、是が非でも得点する姿勢である。
そんな中、ついに試合は2分のロスタイムに突入。
サッカーで一番ゴールの多い時間帯となった。
そしてロスタイムに入ったところでサウジが再び猛攻を仕掛ける。
日本は時間稼ぎに交代を用意するが、なかなか時計が止まらない。
しかし、そこで試合終了の笛が響く。
0-0で引き分け、日本が北京五輪出場を決めた。
正直勝利して終わるのがベストだと、試合終了間際まで思っていたが
そんな事はどうでもよくなるほどの選手達の表情。
観戦している方には解らない達成感があったのだろう。
それはこのサウジ戦が、本当に両チーム力を出し切って戦った事を意味する。
試合開始から90分間、選手交代なく最高のモチベーションを出し続けた。
これは勝利して終わるよりも、大きな収穫だったと言える。
本当に努力し続けたからこその喜びが画面を通して伝わり
何とも言えない感情に襲われる。
この試合が日本中にもたらした影響は本当に大きい。
サッカーという枠を越えて強力なメッセージを打ち出したと言えるだろう。
今後の日本サッカー界に大きな光が差した瞬間であった。
来年の日本代表にも大きく期待したい。