北京五輪最終予選で、サッカーU-22日本代表は
グループ最強のライバルであるサウジアラビアと激突した。
このサウジアラビアに勝利しない限り
日本の北京五輪への道は開かれないと言っても過言ではない。
それだけにこの一戦、非常に重要である。
日本のスタメンは驚きである。
GKに山本。
DFに水本、青山直晃、伊野波。
MFに内田、水野、家長、本田圭佑、梶山、本田拓也。
FWは森島のワントップ。
そう、平山がいない。
ついにあの不甲斐ないストライカーと呼べないストライカーが
ベンチスタートとなったのである。
個人的にはこれで目を覚まし、その身体能力を活かしたプレーで
本当のストライカーとして復帰して欲しいものである。
このサウジ戦はアウェーでの戦い。
この試合で日本が勝利する事が出来れば
今後の戦いに大きなプラスをもたらす事は間違いない。
アウェーでの勝利を目標に素晴らしい試合を展開して欲しい。
日本のキックオフで試合開始。
序盤は両チーム共に様子を見ながらの立ち上がり。
先に手を出したのはサウジアラビア。
日本はシュートまで持って行かれるが
安定したディフェンスで体を入れ、シュートの精度を大きく下げる。
日本はアウェイと言うこともあり、ゆっくりと試合を進める。
面白いのはやはり水野。
彼がボールを持った時は何かが起きそうな予感がする。
ファンタジスタとか、そう言うたぐいのものではなく
気持ちが違うのである。
非常に前向きで攻撃的なプレーで
相手のプレーを鈍らせ、そこに自分が切れ込んでいくと言う
完全に自分の持てる力を出し切ってのプレーは
観戦している方に取っても気持ちの良いモノである。
時間が経つにつれて日本が攻めに転じるかと思っていたが
前半20分を過ぎても日本は守りを中心にした試合展開。
基本的に日本のディフェンスが安定しているので心配ないが
気になるのは本田圭佑の辺り。
どうも本田圭佑へのパスが悪いのか
本田圭佑のトラップ力が無いのか
はたまたその両方なのか
彼のところでボールを奪われる部分が多く
そこから非常に危険なプレーに持ち込まれる場面が目立つ。
最終ラインでのディフェンスは良いのだが
本田圭佑の辺りで奪われると
どんなに最終ラインが優秀でもどうにもならない事が起きうる。
この辺り、修正して欲しいものである。
そんな前半23分近辺で、日本に痛恨の出来事が。
本田拓也と本田圭佑に続けてのイエローカードが出される。
本田拓也はタックルがファウルの判定。
そして本田圭佑はその後得たスローインで
味方を探している時間が長く、遅延行為を取られた。
まだこの戦いは最終予選第2戦。
ここで2枚もイエローを出されては今後の展開が思いやられてしまう。
その後、日本はようやく攻撃に転じ
水野や家長を中心にサウジアラビアに攻めかかる。
水野が枠に行く鋭いヘディングを放つが
相手GKがなかなかの腕前。
このGKから点を奪うのは一苦労するかもしれない。
日本が攻撃に転じたのもつかの間
前半30分近辺になると、サウジが流れを日本に行かせないように
再び猛攻を日本に仕掛けてくる。
日本も家長と森島でカウンターを仕掛けるなどして対抗するが
ここから緊迫した試合展開になる。
前半40分を越えると、サウジまで引いて守る展開。
日本は相手が出てきたところで一気に攻め上がるスタイルなので
サウジが攻めて来ないと、何とも戦いづらい。
それでいてサウジは緩急をつけて、日本の隙を突いて
いきなり攻め上がって来るのでタチが悪い。
試合は2分のロスタイムに入り両チーム共に一気にスピードアップ。
しかしながら得点には至らず前半終了。
出来れば前半中にリードを奪いたかったが仕方がない。
後半に期待したい。
サウジアラビアのキックオフで試合再開。
日本は驚きの交代劇が。。。
何と水野に代えて柏木を投入。
何も水野でなくても良いのでは?と思ってしまう。
特に前半非常に良い動きを見せただけに
柏木の投入は面白いが、スタミナのある水野を
ここで代えるのが果たして得策なのか。
大いに疑問である。
水野に代わって入った柏木の動きは良く
十分に水野の代わりを果たしている。
しかしやはり交代選手が水野である必要性は薄い。
試合は日本は相変わらずの守ってからのカウンター。
サウジも前半と同じく日本の動きを見ながら
緩急をつけて攻めるスタイルである。
ただ、気になるのは日本が攻められる場面が多く
少々心配な部分がある。
前半は水野の豊富な運動量で救われた部分もあるので
その辺りの影響が出ないことを祈るばかりである。
また、前半同様に本田圭佑などが上がった際に
カウンターを仕掛けられる部分が多く
そうなると最終ラインより一列前の選手が
守備に回らなければならないのだが
サウジ選手のスピードが速く、日本が置き去りにされてしまう。
この部分は後半になっても全く改善されておらず
反町監督のハーフタイムでの采配に疑問が残る。
そんな前半18分、日本に取って最高の展開が訪れる。
なんとサウジのMFトゥルキが2枚目のイエローで退場。
日本のリスタートを邪魔し、ボールを蹴り出した
行為に対してファウルを取られた。
これでアウェイでの試合で11-10と数的有利を得たのである。
このトゥルキの退場のおかげで、日本は一気に攻めに転じる。
サウジの中盤が薄くなった事で、パスがスムーズにつながり
それが攻め上がる起点となり始めたのである。
しかし、個人的には逆に心配な部分もある。
調子に乗って攻め上がってしまうと
サウジのカウンターを喰らう可能性が高い。
特にサウジの身体能力は高く、とにかく速い。
日本が攻め上がった事で、守りが薄くなり
そこを狙って一気にカウンター、そして日本の失点。
そんなシナリオは十分に考えられる。
サッカーは人数ではない。
退場などで1人少ないのにも関わらず
勝利したという試合はよくある話。
それだけにディフェンスはしっかりと気を付けて欲しい。
後半23分、サウジはエースストライカーのユセフを下げ
薄くなった中盤を補強するべくMFを投入。
攻撃力は下がるが、それでもサウジのスピードは十分あるため
日本に取ってはサウジの中盤が元に戻った分
FWが不在とは言え、11-11に戻ったと思って良いだろう。
そしてその交代の後、案の定サウジが猛攻を仕掛ける。
これに対して家長が相手を倒し、痛恨のイエロー。
場所も日本ペナルティーエリアのすぐ外側なだけに
このワンプレーで流れが変わってしまう可能性が高い。
このFKはゴールの枠を外れ、事なきを得たが
問題はここからである。
幸か不幸か、家長が倒したサウジの選手が負傷し
一時ピッチの外に出されたため、11-9と数的には有利。
この時間帯を使ってリズムを取り戻したいところ。
結局サウジの選手はしばらくして戻り、再び11-10となる。
その後家長がサウジ陣内の同じような場所で倒されるが
ノーファウルの判定となる。
ファウルっぽい感じがしたが、その前のプレーもあるので
文句は言えないと言ったところだろう。
日本はその後、家長がを放つ場面があるが
またも相手GKに防がれる。
このサウジのGK、侮れない。
後半31分、日本は梶山に代えて青山敏弘を投入。
ここまであまり目立ったプレイの無い梶山だったので
この青山には期待したいところ。
この辺りから再び試合は混戦となり
どちらの流れとも言えない展開となる。
残り時間も15分を切った事で、両チーム共に
一気に気合いを入れた格好となった。
そのまま両チーム決定打の無いまま試合は進み
後半42分、日本はここで森島に代えて平山を投入。
ここで平山が得点出来れば再びエースを名乗っても
まぁ許せると言っても良いかもしれない。
試合は2分のロスタイムに突入。
日本としてはどうにか押し込み、勝ち点3を取って
次のカタール戦に臨みたいところ。
最後の最後でサウジアラビアのコーナーキックとなり
日本はピンチを迎えるが、何とか防ぎ切り
0-0のまま引き分けで試合終了。
試合内容としてはディフェンス面では悪くない。
問題は攻撃面である。
決定力に欠ける展開はアウェイという事を考えると
守りから入るのがセオリーなので、仕方がないが
それでも日本の中盤には疑問が残る。
特に本田圭佑、本田拓也、梶山の辺りは
少々頼りない感は否めない。
また、一番の疑問は反町采配。
なぜ水野を下げたのか。
ここは大きく疑問である。
水野はフル代表でも活躍し、その無尽蔵のスタミナを
大々的に披露しており、疑いの余地はない。
あそこで柏木を代えるなら、梶山などと代えた方が
日本の攻撃力が上がったのではないかと思ってしまう。
反町監督に関してはあまり良い評価は聞かない。
それを鵜呑みにしてしまうのもどうかと思うが
この采配を見ている限りは私も疑問が残ってしまう。
この辺り、どう修正するかが今後のU-22日本代表の課題だろう。
この試合の結果、日本は勝ち点4となり
勝ち点ではカタールと並んだ。
しかしながらカタールは得失点差で+2とし
日本は+1となっているため
首位はカタールのまま。
ただ次はホームでのカタール戦。
これに勝利すれば文句なしに日本が首位に立つ事が出来る。
次のカタール戦、大いに期待したい。