サッカーワールドカップ3次予選で
日本はアウェーでタイと対戦した。
この試合で日本が勝利するか引き分ければ
4時間後に行われるバーレーン対オマーンの
試合結果によって最終予選進出が決定する大一番。
ここは絶対に勝利しなければいけない試合となった。
注目の日本のスタメンは
GKに楢崎
DFに中澤、闘莉王、駒野、内田
MFに中村俊輔、松井、長谷部、遠藤、香川
FWに玉田のワントップ
何とも苦しい布陣である。
と言うのも、中村俊輔は右足首を負傷しており
テーピングで固定しての出場。
決してフルタイム出場出来る状態ではない。
また、闘莉王も同じく怪我に苦しんでおり
他にも長友は故障、大久保は先日の一発レッドで
ベンチにも入っていない。
逆にタイは先日の日本戦では主力を欠いた状態であり
この試合では完全にベストメンバーに戻っている。
しかもタイに取ってはホームのこの試合
その勢いは侮れない。
果たしてこの状態でどこまで戦えるのか。
心配だが祈りつつ観戦することにしたい。
タイのキックオフで試合開始。
試合開始直後、いきなりの素晴らしいプレイが飛び出す。
タイのキックオフだったが、長谷部が一気に飛び出し
ボールを奪い取り、そのまま敵陣に一人で切り込み
シュートまで持って行った。
しかもそのシュートは枠に行っており
GKに阻まれたものの、素晴らしい攻撃を見せた。
この長谷部のプレイのおかげで日本は立ち上がりから
リズムを掴んで良い攻撃を見せる。
タイ陣地でのフリーキックを奪い、流れの中でも
セットプレイでもタイのゴールを脅かしていく。
なにやらこの試合、日本代表の強い気迫が感じられ
負ける気がしないのが心強い。
やはりサッカーにおいて気持ちの部分は大きい。
その後も日本は非常に早い攻守の切り替えで
果敢に攻めていく。
特に玉田、香川の超スピードコンビは
タイ陣内を攪乱させており面白い。
心配なのはタイのカウンターである。
日本は攻守の切り替えを素早くしているが
闘莉王と中澤が攻撃参加する攻めの時間帯の後の
タイのカウンターはヒヤッとするモノがある。
しかし香川のサイドの攻めは本当に驚異的である。
あっという間に左サイドを駆け上がり
クロスを上げられなくても
確実に相手DFに当ててCKを得ている。
セットプレイでは遠藤と中村俊輔という
どちらからでもピンポイントでクロスを
上げられる選手がいるだけに
こういった攻められ方はタイに取って不快だろう。
また、玉田も超スピードで相手の嫌がるポジション取りをし
ファウルを誘って相手ペナルティーエリア付近でFKを得ている。
そんな前半22分、ついに試合が動いた。
サイドからの駒野のクロスがCKとなり
その瞬間に闘莉王と中澤が上がってのCK。
遠藤がショートコーナーで一度パスを出し
それを中村俊輔が戻し、遠藤がクロスを上げなおし
それをファーの闘莉王が驚異的な高さから
たたき落としてのゴール。
これで前半から日本は待望の先制点を手にした。
その直後も松井が驚異的なフィジカルで
相手からファウルを誘い、そこから遠藤が
直接FKでシュートを狙っていくなど
日本は先制しても全く攻撃の手を緩めない。
それもそのはず、とにかく早く安全圏のリードを取り
中村俊輔を温存しなければならない。
それだけにチーム一丸となっての攻撃は
タイにとっては大きな脅威だろう。
そんな流れの中、前半39分またも試合が動く。
またも左サイドからの遠藤のCKで
中央へピンポイントのクロスがあがり
これを中澤がボンバーヘッド一閃!
驚異的な打点の高さからタイゴールに
ボールを突き刺した。
これで2-0と日本はリードを広げる。
もうアジアでは闘莉王と中澤のヘッドを止める選手は
間違いなくいないと言う証明となるシュートであった。
その後も終始日本は攻め続けたが前半はこれ以上の動きはなく
2-0で前半を折り返した。
果たして後半に中村俊輔を出すのか
そして戦術なども含め、岡田監督の手腕が問われるハーフタイムとなる。
日本のキックオフで試合再開。
ハーフタイムでの選手交代はない。
日本は中村俊輔を続投させる構えである。
2点リードしているとは言え
絶対に勝利しなければならないこの試合
万全を期して中村俊輔を使い続ける事を選んだようである。
後半も立ち上がりから日本は前半同様に攻め続ける。
相変わらず玉田と香川の超スピードコンビが力強い。
ところが後半8分近辺で流れが一変。
タイが一気にパスをつなぎ日本陣内に攻めてくる。
そんな後半9分、松井がペナルティーエリアギリギリで
タイの選手を倒しFKを与えてしまう。
楢崎が弾いて危機を脱したモノの、大いに危険である。
この流れをどう断ち切るか、注目である。
その後、日本は何とかタイの猛攻を防ぐが
後半から湿度が上がってきており
日本選手の体力の消耗が激しい。
そんな後半25分、ついに日本ベンチが動く。
中村俊輔と松井に代えて中村憲剛と矢野を投入。
流れを変えにかかる。
この交代の直後、中村憲剛を機転にチャンスを作るなど
一度流れが日本に来始める。
しかしこの直後、またもタイに流れが移る。
やはり日本に疲れが見え始める。
そんな後半37分、日本は香川に代えて今野を投入。
DFを強化し、守備を固めるようである。
今野の投入後、日本のディフェンスが
安定するかと思いきや、全く安定しない。
矢野のポジショニングが悪く、中盤が空いてしまい
タイのカウンターの長いパスが簡単に通ってしまう。
日本は楢崎が良く防いでいるが、全く持って危険である。
悲しいのは玉田。
本当に良く走り、縦横無尽にフィールドを駆けめぐるが
どうしてもFWとしての得点に結びつかない。
個人的に大好きな選手なだけにもったいない限りである。
と、そんな後半43分、試合が動く。
左サイドから駒野がドリブルで豪快に切れ込み
中央へのクロスを上げる。
そこで中村憲剛が飛び出し、強烈なボレーシュート。
これが綺麗にタイゴールに突き刺さり
日本ダメ押しの3点目を決めた。
そして3分のロスタイム。
日本はタイの必死の猛攻を受けるが
3点リードという強みが日本選手を冷静にし
しっかりと守り、そして最後まで攻めての試合終了。
この3次予選でアウェーでの勝利に恵まれなかった日本だったが
この大一番で大きな勝利を手に入れ
ワールドカップ最終予選に向けて大きな一歩を踏み出した。
4時間後の試合結果によっては
これで最終予選進出が決定する。
出来る事なら次のバーレーン戦を待たずに3次予選突破を決めて
精神衛生上良い形でバーレーン戦を戦って欲しいモノである。
素晴らしい試合だった。