女子バレーワールドグランプリ決勝ラウンドで
日本は世界ランク2位のイタリアと激突した。
ベストメンバーに戻しても未だに敗戦が続いており
しかもこの決勝ラウンドは世界トップレベルの強豪のみ。
そんな中で日本がどれだけ粘れるかが注目される。
個人的には敗戦が続いてはいるが、キューバ、アメリカと
徐々に試合をするにつれて日本の調子が
上がってきているのを感じる。
昨日のアメリカ戦、日本の実力で勝てた試合ながら
日本の調子が上がりきらなかった。
しかしキューバ戦よりは確実に良くなっており
このイタリア戦での日本の戦果は非常に興味深い。
日本のスタメンは昨日と同じベストメンバー。
竹下、高橋、栗原、杉山、木村、荒木
そしてリベロに佐野が入る布陣。
対するイタリアもベストメンバーで臨んできている。
第1セットまずはラリーの末、イタリアのポイントで始まる。
そのまま立ち上がりは一進一退の試合展開で
最初のテクニカルタイムアウトは8-7で
日本がリードで迎えるも気が抜けない状況。
しかしこのタイムアウトの後、日本が走り出す。
連続得点でイタリアからリードを取り
2回目のテクニカルタイムアウトを16-11で迎える。
ここに来てようやくチームでの勢いがついてきた感がある。
その後も日本はイタリアの追撃をかわし
自分たちのペースを守って試合を進め
24-19でセットポイントを迎える。
しかしここからイタリアに連続ポイントで粘られる。
24-22まで追い上げを許してし
タイムアウトを取るが、その後も荒木がブロックされ
24-23と厳しい状況に追い込まれる。
日本は再度タイムアウトを取って立て直しを図り
それが功を奏し、最後は栗原が思いきり打ち抜いて
24-23で第1セットを先取した。
続く第2セット、木村が叩き込み日本のポイントで始まる。
そのまま立ち上がりは木村が2連続で叩き込み
日本は流れを掴んだまま強力なスパイクを決めて
リードを奪い、最初のテクニカルタイムアウトを8-5で迎える。
木村、栗原、杉山が非常に心強い。
特に木村、杉山の調子が良いと日本は強い。
安定した高橋、栗原だけで勝ち抜けるほど世界は甘くない。
そこに木村や杉山が加わる事で攻撃の選択肢を広げ
相手が嫌がる攻撃を強いることが出来るのである。
イタリアの調子が良くない事もあるが
この試合の感じなら確実に日本が勝つだろう。
日本はその後も連続ポイントを重ね
リードを保ったままセット終盤へ。
逆にイタリアは攻撃が機能せず、バタつきが目立つ。
しかしそれでも世界2位の強豪。
そんな中でも落ち着いて徐々にペースを取り戻し
持ち前の身体能力を活かした攻撃で追い上げる。
この辺りはさすがと感服してしまうほどのモチベーションで
日本を追い上げ、精神的に追い詰めていく。
大量リードがなければ日本が逆にバタついていたかも知れない。
しかしこの流れを杉山が打ち切り、その杉山をおとりに
木村などが決めていき、イタリアの逆襲をギリギリでかわして
24-21と日本のセットポイントを迎える。
イタリアにブロックされ1ポイントを返されるが
最後は栗原がまたも打ち抜き、25-22で第2セットも連取する。
迎えた第3セット、イタリアのサーブミスで
日本のポイントでスタートする。
立ち上がりはこれまでの流れとは逆にイタリアペース。
さすがに第2セット後の休憩中に
イタリアもデータを整理し、修正して来たと言う事だろう。
不調の時に素早く修正出来るかどうか。
この辺りも世界トップレベルに求められる絶対不可欠条件と言える。
イタリアに先行されるも日本もどうにか喰らいつき
最初のテクニカルタイムアウトは7-8と僅差で迎える。
このタイムアウト付近で先行していたイタリアが再びバタつく。
イタリアのミスが目立つのだが、日本がイタリアの
バレーをさせないよう、しっかり日本の
スピードバレーを展開している証拠だろう。
タイムアウトの後も、日本は栗原の強烈のバックアタックなど
日本の攻撃が面白いように通っていく。
後はイタリアの攻撃をどのように止めるかがポイントとなるが
イタリアの攻撃もなかなか止まらない。
イタリアがバタついてミスをするので助かっている状況。
しかし中盤にさしかかったところで栗原がブロックを決めるなど
徐々に日本のブロックも良い効果を見せ始める。
2回目のテクニカルタイムアウトは14-16と
両チーム全く引かない展開で試合は進む。
点差はほとんど動かないのだが、勢いは明らかに日本にある。
特に栗原と木村のスパイクの力強さが今までとは桁違いに良く
素人でもハッキリと解るほどである。
地力のあるイタリアが身体能力を頼みに攻撃を決めているが
こういった展開なら、良い勢いで攻撃をしている日本の方が
長い目で見ると有利なはずである。
その後、点差は変わらず徐々に日本が追い込まれる事になったが
セット終盤に来て栗原の強烈なサーブポイントが決まり
それを皮切りに日本の勢いは最高潮に。
イタリアの攻撃は相変わらず通っていくが
リードされているにもかかわらず負ける気がしない。
日本はその後も杉山の神速ブロード、ブロックポイントと
杉山の2連続ポイント23-23と同点とする。
イタリアが切り返し23-24とイタリアのセットポイントとなるが
ここでまたも杉山の神速クイックが炸裂し試合はデュースに。
これに木村が続いて強烈なスパイクを叩き込み25-24と
試合は日本のマッチポイントを迎える。
そして最後は荒木のブロックポイント。
もうイタリアはなす術がないと言った表情である。
なんと心地よい勝利だろうか。
ここに来て、ようやくベストメンバーでの調子が上がってきた。
やはり他のチームと違い、チーム力の底上げの為に
これまでのラウンドを勝つという事にこだわらずに
様々なバリエーションを試す事に専念した結果
ベストメンバーでのチーム作りが多少遅れていた。
しかしながらワールドグランプリホスト国の利を活かし
決勝ラウンドに無条件で進めるという特典を理由に
強豪との試合を絶好の経験値稼ぎに使えたわけである。
決勝ラウンドでのキューバ、アメリカと徐々に調子をあげ
この第3戦のイタリア戦でようやく実を結んだ結果となった。
こうなれば残りの中国、ブラジルとの戦いで
日本の真価が問われる事となるのは間違いない。
明日、明後日の試合、注目である。